コラム

2023/02/02

任意後見人の報酬について

 任意後見契約が発効すると、任意後見人は委任者の療養看護や財産の管理に関する事務等を行うことになりますが、この際、任意後見人の報酬は発生するのでしょうか。

 本コラムでは、任意後見人の報酬について説明いたします。

任意後見人の報酬

 任意後見人に報酬を支払うかどうか、また支払う場合の金額については、委任者と任意後見人とで自由に決めることができます。報酬を定めた場合は、任意後見契約書に特約を設ける必要があります。

 親族が任意後見人となる場合は無報酬とするケースもありますが、弁護士等専門職の第三者が任意後見人となる場合は、報酬を定めるのが一般的です。

任意後見人の報酬額の相場

 弁護士等の専門職の第三者が任意後見人となった場合の報酬額は、月額3万円~5万円程度とすることが多いようです。

 家庭裁判所により、成年後見人の報酬の目安が公表されており(本人の資産が1000万円以下で月額2万円の報酬、1000万円超から5000万円以下で月額3~4万円の報酬、5000万円超で5~6万円の報酬)、任意後見人の職務内容も成年後見人の職務内容とほぼ同じであるため、この目安を参考に決めることが多いといえます。

任意後見人の報酬の条項に記載すべき事項

 任意後見契約の報酬に関する条項においては、具体的な報酬額または報酬額を導き出す算定基準について記載します。また、支払時期や支払方法についても定めておくことが必要です。

 一般的には、月額報酬とすることが多く、任意後見人が管理している本人の財産から、毎月月末に支弁されるというケースが多いようです。

 もっとも、任意後見人が特別な事務処理(不動産の処分等)を行った場合に、月額報酬以外の特別報酬を受領できる特約を定めることもあります。

任意後見人の事務費用について

 任意後見人が職務を遂行するにあたり、通信費や交通費等様々な費用が発生することがありますが、こうした任意後見事務に要する費用については、任意後見契約書において本人の財産から支弁できる旨を定めるのが一般的です。

 事務費用を支出する際は、本人の財産管理を行なっている任意後見人としてはなるべく低額に抑え、本人の経済的負担を軽減するよう努めなくてはなりません。

弁護士 小西 憲太郎

所属
大阪弁護士会
刑事弁護委員会
一般社団法人MACA信託研究会 代表理事
一般社団法人財産管理アシストセンター 代表理事
一般社団法人スモールM&A協会 理事

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