コラム

2021/07/08

【解決事例】コインパーキングの精算機窃盗事件

事案の概要

 依頼者Xは、友人のYとZと共に、バールでコインパーキングの精算機を破壊して、売上金を窃取しようとしたが、通行人に見つかり、未遂に終わった事例。

手続の流れ

 依頼者Xは、令和3年1月25日の夜、友人YとZと共に、大阪市のコインパーキングをバールでこじ開け、売上金を窃取しようと試みましたが、途中、通行人に発見・通報され、警察に緊急逮捕されました。

 令和3年1月26日、依頼者Xは勾留されたところ、当事務所担当弁護士が、被疑者国選弁護の要請を受け、初回接見を行いました。

 依頼者Xは、逮捕当初から、一貫して、被疑事実を認めていました。

 本件が、未遂に終わったこと、被疑事実を認めていること、依頼者Xには定まった仕事があったこと、家族と同居していたこと等の事情から、勾留の必要性がないと判断し、令和3年1月28日、裁判所に対して、準抗告の申立と勾留取消請求を行いました。

 準抗告の申立は、勾留許可決定に不服がある場合に、同決定を取り消すことを求める申立てです。

 勾留取消請求は、勾留許可決定に理由があるものの、事後的な事情から、勾留の必要性がなくなった場合に、勾留の取消しを将来に向かって求める請求です。

 本件のように、被疑事実を全て認めているような場合は、準抗告に加えて、予備的に勾留取消請求を行うこともあります。

 もっとも、残念ながら、いずれの請求も採用されず、勾留の効力は維持されました。

 その後、令和3年2月4日、裁判所は、10日間勾留延長を認める決定を出しました。

 当事務所担当弁護士は、令和3年2月5日、主位的に勾留延長決定を取り消す、予備的に勾留延長は認められるとしても3日間の延長とすべきであるとの内容で準抗告申立を行いました。

 令和3年2月5日、裁判所は、原決定を取消し、勾留延長期間を5日間とする決定を出しました。

 その結果、短縮された勾留期間の満了後、依頼者Xは釈放され、在宅の状態で、数日後、起訴されることになりました。

コメント

 本件は、事実関係は争わないものの、身体拘束の必要性が問題になった事件でした。

 他の共犯者は、準抗告を行わなかったのか、行ったが認められなかったのか不明ですが、勾留された状態のまま起訴されました。その場合、刑事裁判が終了するまでの間、保釈されない限り、拘置所で過ごすことになります。

 被疑者・被告人にとって、勾留は、身体的にも精神的にも非常に苦しいものになります。

 当事務所では、可能性が低くても諦めずに、何度も準抗告等を行い、依頼者の身体拘束の解放に向けた弁護活動を行っていきます。

※掲載されている解決事例は、実際に小西法律事務所で取り扱った事件が基になっていますが、掲載・解説の都合上、事情を抽象化するほか、逮捕日、勾留請求日等の日付を変更しております。

弁護士 白岩 健介

所属
大阪弁護士会
刑事弁護委員会
一般社団法人日本認知症資産相談士協会 代表理事

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