コラム

2021/03/18

飼い主の義務①

動物は動産?

 動物は、民法上、単なる動産に過ぎないと説明されることがあります。自然人、法人等のように権利の主体にはなれないという点と、不動産(民法86条1項)ではないという点ではその説明に誤りはないといえます。しかし、動物の愛護及び管理に関する法律(以下「動物愛護管理法」といいます。)では、動物の所有者または占有者(いわゆる「動物の飼い主」にあたります。)に対し各種の責任を定めており、単なる動産という扱いをすることは許容されていません。

動物愛護管理法の目的

 動物愛護管理法は、動物の虐待及び遺棄の防止、動物の適正な取扱いその他動物の健康及び安全の保持等の動物の愛護に関する事項を定めて国民の間に動物を愛護する気風を招来し、生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資するとともに、動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害並びに生活環境の保全上の支障を防止し、もつて人と動物の共生する社会の実現を図ることを目的としています(同法1条)。

動物愛護管理法上の飼い主の義務

 動物の飼い主には、動物が命あるものであることから、適正に飼養・保管することにより動物の健康及び安全を保持する義務、動物による人の生命・財産等への危害を防止する義務、動物の飼養等による人への迷惑を防止する義務という3つの努力義務があります(同法7条1項)。
 また、動物の飼い主には、感染症に関する知識を身につける義務(同条2項)、逸走を防止するために必要な措置を講じる義務(同条3項)、終生飼養義務(同条4項)、繁殖に関する適切な措置を講じる義務(同条5項)、環境大臣が飼養および保管に関しよるべき基準(同条7項)を定めたときは、飼養および保管についてその基準を守る義務があります(同条1項後段)。動物の所有者にはその動物が自己の所有であることを明らかにするための措置を講じる義務(同条6項)、また、犬猫販売業者以外の犬猫の所有者に対し、犬猫にマイクロチップを装着するよう努める義務も定められました(同法39条の2第2項、令和4年6月1日施行)。

 次のコラムでは、環境大臣が定めた飼養および保管に関する基準を説明します。

弁護士 石堂 一仁

所属
大阪弁護士会
大阪弁護士会 財務委員会 副委員長(H29.4~)
大阪弁護士会 司法委員会(23条小委員会)
大阪弁護士会 弁護士業務改革委員会(ベンチャー法務プロジェクトチーム)
近畿弁護士会連合会 税務委員会 副委員長(H31.4~)
租税訴訟学会

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