コラム

2021/01/11

【解決事例】美容クリニックでの施術ミス

事案の概要

 依頼者Xは、美容クリニックYで小じわ等を緩和する施術を受けたところ、施術箇所が腫れてしまったため、美容クリニックYに対して損害賠償請求を行うため、証拠保全手続きを行った後、訴えを提起したという事案。

手続の流れ

 依頼者Xは、当初、ご自身で美容クリニックYと話をして解決を目指していましたが、美容クリニックYから、誠意ある対応をいただけておりませんでした。

 そのような事情があったため、受任後、証拠保全手続を取り、美容クリニックYのカルテ・写真等の保全を行いました。

 美容クリニックYに対する証拠保全手続は、裁判所職員と弁護士が美容クリニックに赴き、カルテや写真等の証拠を保全するというものです。電子カルテの場合は、それをデジカメで撮影する方法、USBデータで取得する方法等があります。紙のカルテの場合は、それをデジカメで撮影する方法、コピー業者を同伴させてその場でコピーする方法等があります。

 証拠保全手続は、相手方が証拠隠滅(カルテの改ざんや破棄)をするおそれがある場合、裁判所に申立てを行い、早急に証拠の保全を図るというものです。

 本件においても、証拠保全手続は成功し、無事、カルテや写真等を取得することができました。

 その後、取得した証拠を利用して、美容クリニックYと交渉を重ねましたが、美容クリニックYから納得する返事が得られなかったので、実際に施術を行った医師と美容クリニックYに対し、損害賠償を求め、訴えを提起しました。

 当事者尋問を経た後、裁判所からの和解勧告に従い、請求金額の一部の支払を受ける内容で和解が成立しました。

コメント

 全ての医療過誤事件で証拠保全手続を行う訳ではありませんが、相手方の従前の態度や病院の規模等を踏まえて、実施した方が良いケースがあります。

 今回の事案では、任意のカルテ開示では適切な証拠を得ることができないと判断し、上記のとおり、証拠保全手続を取りました。

弁護士 白岩 健介

所属
大阪弁護士会
刑事弁護委員会
一般社団法人日本認知症資産相談士協会 代表理事

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