コラム

2020/12/21

刑事裁判で無罪になった場合の補償について

無罪判決を受けた場合の補償

 刑事裁判で無罪判決を受けた場合、国に対して一定の金銭補償の請求を行うことができます。

 具体的には、

  • 費用補償請求
  • 刑事補償請求

です。

費用補償請求

 費用補償請求は、その裁判に要した費用(弁護人の報酬等)の交付を求める裁判手続です。

 ただし、本人の責に帰すべき事由によって生じた費用や、捜査や審判を誤らせる目的で虚偽の自白をし、または他の有罪証拠を作ったため起訴された場合は、補償の全部又は一部を受けることができません。

補償の範囲

 補償の範囲には、弁護人や被告人の出頭に要した旅費、日当、宿泊料のほか、弁護人の報酬も含まれます。

 しかし、弁護人の費用については、国選弁護の規定が準用され、「裁判所が相当と認めるところによる」(刑事訴訟手続法第188条の6、刑事訴訟費用等に関する法律第8条2項)と定められていますので、実際に支払った弁護士費用と差が出る場合があります。

費用補償の請求期間

 費用補償請求は、無罪判決が確定した日から6か月以内に行わなければなりません。

刑事補償請求

 刑事補償請求は、未決の抑留又は拘禁を受けた場合に、その身体拘束期間に対する補償の交付を求める裁判手続です。

 例えば、無罪の判決を受けた人が、逮捕又は勾留されていた期間がある場合に、刑事補償請求を行うことが可能です。

 また、再審や非常上告において、既に刑の執行を受けている場合も刑事補償請求を行うことが可能です。

刑事補償の額

 裁判所は、「拘束の種類及びその期間の長短、本人が受けた財産上の損失、得るはずであつた利益の喪失、精神上の苦痛及び身体上の損傷並びに警察、検察及び裁判の各機関の故意過失の有無その他一切の事情を考慮しなければならない。」(刑事補償法第4条2項)との基準に基づき、1日当り1000円~1万2500円の金額を決定します。

 例えば、逮捕勾留期間が30日で補償金額が1万2500円の場合、37万5000円(30日×1万2500円)の交付を受けることができます。

刑事補償の請求期間

 刑事補償請求は、無罪判決が確定した日から3年以内に行わなければなりません。

弁護士 白岩 健介

所属
大阪弁護士会
刑事弁護委員会
一般社団法人日本認知症資産相談士協会 代表理事

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