コラム

2023/01/12

任意後見支援信託について

 任意後見支援信託は、任意後見制度と信託を併用する方法で、安全に財産の保護を図ることのできる制度です。本コラムでは、任意後見支援信託のメリット等についてご説明いたします。

 

信託とは

1 信託とは

 委託者が信頼できる人(受託者)に対して自身の財産を託し、受託者は委託者が設定した目的に従って受益者のためにその財産の管理や処分、その他当該目的の達成のために必要な行為をする制度です。

2 福祉型信託とは

 信託は①委託者、②受託者、③受益者の3者の関係に基づきますが、委託者自らが受益者になることもできます。

 委託者と受益者が同じ人である信託を自益信託といい、高齢者や障害者が自己を受益者として信託を設定することを一般的に福祉型信託といいます。

高齢者や障害者においての信託の活用

 福祉型信託は、成年後見制度を補完するための財産管理の仕組みとして機能しているともいえます。

 一般的に、判断能力を喪失又は低下している方は、自己の財産を騙し取られたりするリスク等が高いといえますが、信託を設定し財産の名義を受託者に移転しておくことにより、このリスクを一定程度回避することができます。

 判断能力が低下していないために成年後見制度を利用することができない高齢者や障害者においても、信託を活用することにより安全に財産を保全することができます。

任意後見支援信託のメリット

 福祉型信託において、受託者は財産の管理・運用等は行いますが、委託者の身上保護を行うことはできません。そこで、将来、委託者の判断能力が低下する場合に備えて、信託と任意後見制度を併用する方法が考えられます。

 任意後見制度においては、契約の内容について委任者が自由に決めることができるため、身上保護等に関する事柄については親族等の任意後見人に委任し、財産の管理については信託を設定して財産管理の専門家に委託することができます。

 任意後見人は、必要があれば、受託者に指図をして生活費や施設費等を給付させることとなるので、任意後見人が担う財産管理についての負担を軽減することができ、身上保護の充実により注力することができます。

弁護士 小西 憲太郎

所属
大阪弁護士会
刑事弁護委員会
一般社団法人MACA信託研究会 代表理事
一般社団法人財産管理アシストセンター 代表理事
一般社団法人スモールM&A協会 理事

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