コラム

2022/10/31

暗号資産(仮想通貨)と財産分与

暗号資産の財産分与

 昨今、暗号資産の取引をされている方も多いと思います。

 夫婦が、婚姻中に、夫婦共同の家計から支出して暗号資産を取得した場合には、暗号資産は、夫婦が協力して築いた財産として、預金や不動産と同様に財産分与の対象となります。

 なお、婚姻前から暗号資産を保有していた場合や、婚姻後、夫婦の一方が、相続や贈与により暗号資産を取得した場合等には、当該暗号資産及びその利益は特有財産となるため、財産分与の対象にはなりません。また、運用者の才覚によって利益がもたらされたものと認められた場合には、その全部または一部について、財産分与の対象外となる場合があります。

財産分与の対象となる暗号資産の評価

 暗号資産は、価格変動が非常に大きい資産であるため、暗号資産を財産分与する際には、その評価額が大きな問題となります。

 まず、どの時点で保有している暗号資産が財産分与の対象となるのかについては、一般的な財産と同様、別居時と考えられています。たとえば、別居時に、夫婦の一方が、ビットコインを1BTC有していた場合は、1BTCが財産分与の対象になります。

 そして、財産分与の対象となる暗号資産の評価額を定める基準時については、別居時ではなく、離婚成立時と考えられています。

 もっとも、別居時から離婚時までの間に、暗号資産が大暴落する等、評価時を離婚時とすることが著しく公平を欠くような場合には、その評価時期等が修正される可能性があると考えられます。

弁護士 川並 理恵

所属
大阪弁護士会
大阪弁護士会消費者保護委員会
全国倒産処理弁護士ネットワーク会員

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