コラム

2021/11/04

交通事故による損害額の算定⑤ 〜慰謝料〜

 交通事故における損害賠償は主に積極損害、消極損害、慰謝料の3つに分けることができます。
 そのうち慰謝料とは、精神的損害に対する損害賠償金をいいます。交通事故における精神的損害としての慰謝料は、入通院慰謝料(傷害慰謝料ともいいます。)・死亡慰謝料・後遺障害慰謝料があります。

入通院慰謝料

 入通院慰謝料とは、病院に入院や通院したことに対して支払われる慰謝料のことであり、治療のために要した入院・通院の期間に基づき算定されます。

算定方法

 入通院慰謝料については、入通院期間を基礎として別表Ⅰの基準に基づいて定めます。ただし、仕事や家庭の都合等で本来より入院期間が短くなった場合には増額が考慮されます。他方、入院の必要性に乏しいのに本人の希望によって入院していた場合には減額が考慮されます。なお、入院待機中の期間及びギブス固定中等による自宅安静期間は、入院期間とみることがあります。

出典:公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部

実通院日数と通院期間の計算

 通院が長期にわたり、かつ、不規則な場合は、実際の通院期間(始期と終期の間の日数)と実通院日数を3.5倍した日数とを比較して、少ないほうの日数を基礎として通院期間を計算します。

軽度の神経症状

 軽度の神経症状(むち打ち症で他覚所見のない場合等)の入通院慰謝料は別表Ⅱの基準に基づいて定めます。

出典:公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部

死亡慰謝料

 死亡慰謝料とは、被害者が死亡したことに対して支払われる慰謝料です。
 死亡慰謝料は、次の額を基準とします。

一家の支柱 2800万円
母親、配偶者 2500万円
その他 2000~2500万円

出典:公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部

※注意
①死亡慰謝料の基準額は本人分及び近親者分を含んだものです。
②次のような事情があった場合は、慰謝料の増額を考慮します。
 ・加害者に飲酒運転、無免許運転、著しい速度違反、殊さらな信号無視、ひき逃げ等が認められる場合
 ・被扶養者が多数の場合
 ・損害額の算定が不可能又は困難な損害の発生が認められる場合
③次のような事情があった場合は、慰謝料の減額を考慮することになります。
 ・相続人が被害者と疎遠であった場合

後遺障害慰謝料

 後遺障害慰謝料とは、後遺障害が生じたことによって支払われる慰謝料です。後遺障害の等級に応じ、次の額を基準とします。

第1級 第2級 第3級 第4級 第5級 第6級 第7級
2800万円 2370万円 1990万円 1670万円 1400万円 1180万円 1000万円
第8級 第9級 第10級 第11級 第12級 第13級 第14級
830万円 690万円 550万円 420万円 290万円 180万円 110万円

出典:公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部

 ただし、14級に至らない後遺障害がある場合は、それに応じた後遺障害慰謝料を認めることがあります。

※注意 後遺障害慰謝料の増額を考慮しうる事情は、死亡慰謝料の場合に準じます。

近親者の慰謝料

 原則として、後遺障害慰謝料には介護に当たる近親者の慰謝料を含むものとして扱いますが、1級、2級等の重度の後遺障害については、近親者に別途慰謝料を認めることがあります。その額は、近親者と被害者の関係、今後の介護状況、被害者本人に認められた慰謝料額等を考慮して定めます。

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