コラム

2021/09/30

事業承継 ~事業承継税制の特例措置とは?~

事業承継税制とは

 事業承継税制とは、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(中小企業経営承継円滑化法)による都道府県知事の認定を受けることで、後継者が先代経営者から贈与や相続により取得した株式や事業用の資産について、贈与税や相続税の納税が猶予される制度のことをいいます。
 平成30年度税制改正で創設された特例措置では、10年間の措置として、納税猶予の対象を総株式数の3分の2までとする制限や先代経営者からの贈与のみとする制限の撤廃、納税猶予割合の80%から100%への引き上げ等がなされ、後継者の死亡等の場合には、猶予された納税が免除されることになりました。

事業承継税制(特例措置)の流れ

  1. 特例承継計画の作成・提出
     法人の場合は令和5年3月31日、個人事業者の場合は令和6年3月31日までに、都道府県知事に特例承継計画を提出し、確認を受けなければなりません。
  2. 贈与または相続の発生
     特例措置の適用を受けるためには、法人の場合は令和9年12月31日、個人事業者の場合は令和10年12月31日までに、贈与または相続(遺贈を含む。)により、後継者が株式や事業用資産等を取得する必要があります。
  3. 認定申請・税務署への申告
     贈与の場合は贈与年の10月15日から翌年1月15日の間に、相続の場合は相続開始の日の翌日から8ヶ月以内に、それぞれ都道府県知事に特例承継計画の認定申請を行います。
     認定を受けた後、認定書を添付して税務署に贈与税・相続税の申告をします。
  4. 年次報告・継続届出書の提出
     申告期限後5年間は、年1回、年次報告書を都道府県知事に、継続届出書を税務署に提出します。
     申告期限後6年目以降は、年次報告書の提出義務がなくなり、3年に1回、継続届出書を税務署に提出します。

特例措置継続適用の要件

 上記の手続を経ることにより事業承継税制の特例措置が適用されることになりますが、継続して適用を受けるためには、主に以下の要件を満たす必要があります。

 特例認定の有効期間(申告期限後5年間)内の主な要件

  1. 後継者が会社の代表者であること
  2. 納税猶予の対象株式を継続保有していること
  3. 5年平均で雇用の8割以上を維持していること
    (8割を下回った場合は、都道府県知事に提出する報告書にその理由を記載し、認定経営革新等支援機関の確認を受けることで、継続適用可能。)
  4. 資産保有型会社等に該当しないこと
  5. 総収入金額が0でないこと

 特例認定の有効期間(申告期限後5年間)経過後の主な要件

  1. 納税猶予の対象株式を継続保有していること
  2. 資産保有型会社等に該当しないこと

猶予税額の免除と納税

 事業承継税制の特例措置が適用され、贈与税または相続税の納税が一旦猶予された後、猶予された税額が全額免除となるか納税しなければならなくなるかは、主として以下の通りとなります。

 猶予税額が免除となる主なケース

  1. 後継者が死亡したとき
  2. 先代経営者が死亡したとき(贈与税の場合)
  3. 会社が倒産したとき
  4. さらに次の後継者に贈与したとき
  5. 同族関係者以外の者に株式等を全部譲渡したとき(譲渡対価等を上回る税額を免除)

 猶予税額を納税しなければならない主なケース

  1. 後継者が代表権を有しないこととなったとき
  2. 同族で過半数の議決権を有しないこととなったとき
  3. 同族内で後継者よりも多くの議決権を有する者がいるとき
  4. 株式等を譲渡したとき
  5. 資本金・準備金を減少したとき(欠損補填目的等の場合を除く。)
  6. 会社が解散したとき
  7. 資産保有型会社等に該当したとき

弁護士 小西 憲太郎

所属
大阪弁護士会
刑事弁護委員会
一般社団法人MACA信託研究会 代表理事
一般社団法人財産管理アシストセンター 代表理事
一般社団法人スモールM&A協会 理事

この弁護士について詳しく見る