コラム

2021/08/02

成年後見制度とは⑪ ~その他制度や支援について~

 今回のコラムでは、成年後見制度に関わる制度や支援について簡単にご説明いたします。

後見登記制度

 成年後見制度に関する公示制度として、後見登記制度があります。現在、後見登記は、すべて法務局でコンピュータによって管理され、磁気ディスクをもって調製する後見登記ファイルに、後見登記に関する事項が記録されます(後見登記法4条、5条)。後見開始等の審判は裁判所書記官の嘱託により、任意後見契約の締結については公証人の嘱託により、登記されます。登記事項や登記されていないことを証明するのは登記事項証明書です。この証明書の交付請求は、本人のプライバシー保護と取引安全の保護との観点から本人のほかには限定された者に限られています(後見登記法10条)。

成年後見制度利用支援事業

 成年後見制度利用支援事業は、成年後見制度の普及・活用を目的とした市町村の取組みを支援するための国庫事業です。
 具体的には、市町村長による法定後見開始の審判申立て、成年後見制度にかかわる経費の助成(申立費用、後見報酬の支給)や成年後見制度の利用促進のための広報、普及活動(パンフレットの作成配布や説明会・相談会の実施)などです。
 このしくみは、介護保険制度において福祉サービス利用契約を結ぶことが困難な程度まで判断能力が低下した認知症高齢者を支援するための「公的後見」を意識した制度といえます。

日常生活自立支援事業

制度の趣旨

 成年後見制度が設立された当時、成年後見制度、特に法定後見制度は、身上監護よりも財産管理を、また、より判断能力が失われた病態あるいは障害程度の人の保護を目的とした制度であるとの印象が見受けられました。また、制度開始当初は、専門家による第三者の成年後見人等がどの程度まで確保されるか、成年後見制度がどこまで国民全体に浸透するか不明な時期でもありました。そこで、福祉サイドから、判断能力が低下しているものの簡単な契約が可能な程度の能力が維持されている人を対象として福祉サービス利用を援助するための「日常生活自立支援事業」が生まれることになりました。
 日常生活自立支援事業とは、認知症や知的障害といった精神上の理由で自ら福祉サービスの契約やその利用料の支払いが困難なことにより日常生活に支障がある人に対して、その人の委託により福祉サービスの利用契約や金銭管理の支援を社会福祉協議会が国庫補助により行う事業のことを指します。
 そして、社会福祉法2条3項12号で第二種社会福祉事業と規定され、「精神上の理由により日常生活を営むのに支障がある者に対して、無料又は低額な料金で、福祉サービスの利用に関し相談に応じ、及び助言を行い、並びに福祉サービスの提供を受けるために必要な手続又は福祉サービスの利用に要する費用の支払に関する便宜を供与することその他の福祉サービスの適切な利用のための一連の援助を一体的に行う事業」である福祉サービス利用援助事業を、同法81条に従い社会福祉協議会が実施した場合に「日常生活自立支援事業」と呼ばれることになります。

日常生活自立支援事業について

 日常生活自立支援事業では、この事業の契約を結ぶことができる程度の判断能力を有する人を対象として、日常的金銭管理、福祉サービスを利用するための支援等を行います。福祉サービスを利用するための支援については、契約内容の説明や契約時の立会い、署名の代行などを行いますが、代理人ではありませんので、成年後見人等のように本人に代わって福祉サービスの利用契約を結ぶことはできません。
 なお、成年後見人が本人を代理して福祉サービスの利用契約を締結することも可能です。

小西法律事務所

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