コラム

2024/02/19

仮名加工情報とは

 個人情報保護法は、2015年改正により「匿名加工情報」が新設されましたが、企業による情報の利活用さらに促進する目的で2022年改正によって「仮名加工情報」が新設されました。

 本コラムでは、仮名加工情報について解説いたします。

仮名加工情報の目的

 個人情報を匿名加工情報に加工するには、個人情報保護法が定めている加工基準を守らなければなりません。この加工基準が少し厳しく、高度な専門的判断や高い技術力が必要になっていました。

 そこで、個人情報と匿名加工情報の中間に当たる仮名加工情報を新設し、主に事業者内部での目的外利用を可能とし、さらなるデータ利活用の推進を目的としました。

仮名加工情報とは

この法律において「仮名加工情報」とは、次の各号に掲げる個人情報の区分に応じて当該各号に定める措置を講じて他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報をいう。

一 第一項第一号に該当する個人情報 当該個人情報に含まれる記述等の一部を削除すること(当該一部の記述等を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。

二 第一項第二号に該当する個人情報 当該個人情報に含まれる個人識別符号の全部を削除すること(当該個人識別符号を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。

個人情報保護法2条5項

 仮名加工情報とは、氏名や住所などの個人を特定できる情報を削除または置換し、他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができなくなったものです。他の情報と照合すれば生の個人情報に復元できるものですので、匿名加工情報にはない以下の規制があります。

  1. 対照表等の安全管理義務
  2. 第三者への提供の原則禁止
  3. 本人への到達行為の禁止
  4. 利用目的の制限
  5. 利用目的達成時の消去(努力義務)

加工の基準

 加工の基準については、個人情報保護法41条1項に規定する個人情報保護法施行規則31条によって、以下のように定められています。

法第四十一条第一項の個人情報保護委員会規則で定める基準は、次のとおりとする。

一 個人情報に含まれる特定の個人を識別することができる記述等の全部又は一部を削除すること(当該全部又は一部の記述等を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。

二 個人情報に含まれる個人識別符号の全部を削除すること(当該個人識別符号を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。

三 個人情報に含まれる不正に利用されることにより財産的被害が生じるおそれがある記述等を削除すること(当該記述等を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。

仮名加工情報の作成の方法に関する基準

 個人情報を加工して仮名加工情報を作る際には、個人を識別できるような内容(氏名や住所、生年月日等)を削除するだけでなく、財産的被害が発生するおそれのある内容も合わせて削除しなければなりません。「財産的被害が発生するおそれのある内容」とは、クレジットカード番号や、送金や決済機能のあるウェブサービスのログインID・パスワードなど、第三者に不正利用されると金銭的な被害が発生してしまうような情報のことをいいます。

仮名加工情報取扱事業者、仮名加工情報データベース等とは

この章、第六章及び第七章において「仮名加工情報取扱事業者」とは、仮名加工情報を含む情報の集合物であって、特定の仮名加工情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものその他特定の仮名加工情報を容易に検索することができるように体系的に構成したものとして政令で定めるもの(第四十一条第一項において「仮名加工情報データベース等」という。)を事業の用に供している者をいう。ただし、第二項各号に掲げる者を除く。

個人情報保護法16条5項

 仮名加工情報をコンピューター(電子計算機)を用いた場合はもちろんのこと、五十音順等の一定の規則に従って整理・分類し、容易に検索することができるように目次や索引等を付した紙媒体であっても仮名加工情報データベース等となります。また、その仮名加工情報データベース等を事業の用に供している者は仮名加工情報取扱事業者となります。

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