コラム

2023/07/24

氏名を用いたブランド名の商標登録⑶~令和5年商標法改正と「他人の氏名」を含む商標~

不正競争防止法等の一部を改正する法律の成立

 氏名を用いたブランド名の商標登録に関しては、2月に掲載したこちらのコラムで、商標法418号の改正に向けた動きを紹介していました。

氏名を用いたブランド名の商標登録⑵ ~商標法4条1項8号改正による登録要件緩和へ~
目 次 [close]1 商標法4条1項8号のハードル2 法改正による登録要件緩和へ2.1 (1) 他人の「氏名」に一定の知名度を求める要件(他人側の要件)2......

 そして、商標法418号の改正を内容に含む「不正競争防止法等の一部を改正する法律」は、早くも令和567日、通常国会にて可決・成立し、614日、法律第51号として公布されました(以下、同法律による改正を「令和5年改正」といいます。)。

〈出典〉特許庁ウェブサイト・不正競争防止法等の一部を改正する法律(令和5614日法律第51号)「法律概要」

 上記コラムで述べたとおり、令和5年改正は、他人の氏名を含む商標の登録要件を緩和する内容であり、氏名を用いたブランド名の商標登録は大きな転換点を迎えました。特に、ファッションデザイナーやパティシエの氏名をブランド名に用いることのあるファッション業界やスイーツ業界にとって、令和5年改正は、大きな影響を与えるものです。

 後述するとおり、本コラム執筆時点では、関係する政令は制定されていませんが、令和5年改正後の商標法418号について、私見も交えつつ、速報としてお知らせしたいと思います2

令和5年改正後の商標法418号の規定

 まず、令和5年改正後の商標法418号の規定は次のとおりであり、8号に該当する商標は商標登録を受けることができません。

第四条 次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。
八 他人の肖像若しくは他人の氏名(商標の使用をする商品又は役務の分野において需要者の間に広く認識されている氏名に限る。)若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)又は他人の氏名を含む商標であつて、政令で定める要件に該当しないもの

商標登録を受けることが出来ない商標

 これだけでは読みにくいため、改正前の商標法418号の規定と比較してみましょう。赤字部分が改正された部分です。

改正前 改正後
他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。) 他人の肖像若しくは他人の氏名(商標の使用をする商品又は役務の分野において需要者の間に広く認識されている氏名に限る。)若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)又は他人の氏名を含む商標であつて、政令で定める要件に該当しないもの

 上記赤字部分を見ると、改正後の商標法418号の規定は、「他人の氏名」を含む商標について、次の2つのパターンを定めていることが分かります。以下、順に確認したいと思います。

1パターン -商標の使用をする商品又は役務の分野において需要者の間に広く認識されている他人の氏名-

 まず、第1パターンは、「他人の氏名(商標の使用をする商品又は役務の分野において需要者の間に広く認識されている氏名に限る。)を含む商標」です。

 令和5年改正前は、単に「他人の氏名」とだけ規定されていたため、商標に含まれる氏名と同姓同名の他人が存在する限り当該他人の氏名の知名度が低い場合であっても、商標法418号該当性が肯定される傾向がありました3

(1)「他人の氏名」の限定

 もっとも、令和5年改正後は、第1パターンにいう「他人の氏名」は、「商標の使用をする商品又は役務の分野において需要者の間に広く認識されている氏名」に限定されています。それゆえ、当該商標に

  1. 商標の使用をする商品又は役務の分野において、需要者の間に広く認識されていない他人の氏名が含まれていたり、
  2. 商標の使用をする商品又は役務以外の分野において、需要者の間に広く認識されている他人の氏名が含まれていたとしても、

 商標法418号にいう「他人の氏名(商標の使用をする商品又は役務の分野において需要者の間に広く認識されている氏名に限る。)を含む商標」には該当しません。

(2)「需要者の間に広く認識されている氏名」=周知性のある氏名

 では、「需要者の間に広く認識されている氏名」とは、具体的にどのような氏名を指すでしょうか。

 この点、本改正に先行して、経済産業省所管の審議会である産業構造審議会知的財産分科会商標制度委員会は、令和53月、「商標を活用したブランド戦略展開に向けた商標制度の見直しについて」以下「本報告書」といいます。)を公表しました。本報告書では、商標法418号の改正にあたり、「他人の氏名」に一定の知名度の要件を設けることが適当である、とされています。

 もっとも、この「一定の知名度」の要件の具体的内容について、本報告書では、次のとおり、更に検討・審議を進めるという記載がされていました。

(イ)「一定の知名度」の要件について
「一定の知名度の要件に関して、求める知名度の程度(本規定の「雅号」等と同様の「著名」とするか、又は商標法第4条第1項第10号等に規定する「需要者の間に広く認識されている」(いわゆる「周知」)とするか等)や知名度の判断基準となる需要者の範囲(指定商品・役務の需要者に限定せず、指定商品・役務を中心としてある程度幅をもった需要者とするか等)の詳細については、今後、法制化に際して検討を深めるとともに、商標制度小委員会商標審査基準ワーキンググループにおいて審議していくこととなった。」

〈出典〉本報告書94

 そのうえで、改正後の商標法418「需要者の間に広く認識されている氏名」と規定したことからすると、ここにいう「需要者の間に広く認識されている」とは、商標法4110号の「需要者の間に広く認識されている」と同様、周知性のある氏名を指すものと解されます。それゆえ、例えば、氏名の周知性の及ぶ地理的範囲については、(商標法4110号の周知性に関する議論を参考にすると)、全国的に認識されている必要はなく、一地方における周知で足りると考えられます(私見)。

(3)【事例1】の検討

 以上を踏まえて、次の【事例1】を考えてみましょう。

【事例1】
 パティシエである山田太郎は、「山田太郎」の文字を標準文字で表してなる商標について、第30類に属する「菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。)」を指定商品として登録出願しました5(以下、「本願商標」といいます。)。
 本願商標は、商標法418号にいう「他人の氏名(商標の使用をする商品又は役務の分野において需要者の間に広く認識されている氏名に限る。)を含む商標」に該当するでしょうか。

 【事例1】において、本願商標の指定商品は「菓子(果物、野菜、豆類又はナッツを主原料とするものを除く。)」とされています。したがって、ここで問題とすべきは、本願商標の使用をする商品の分野(菓子の分野)において、需要者の間に広く認識されている他人の氏名「山田太郎」が存在するかです。

 そのため、仮に菓子の分野において、需要者の間に広く認識されている他人の氏名「山田太郎」(≒一定の知名度を有するパティシエ)が存在すれば、本願商標は、「他人の氏名(商標の使用をする商品又は役務の分野において需要者の間に広く認識されている氏名に限る。)を含む商標」に該当します

 他方で、上記①のとおり、菓子の分野において、需要者の間に広く認識されていない他人の「山田太郎」(≒無名のパティシエ)が複数存在したとしても、本願商標は、「他人の氏名(商標の使用をする商品又は役務の分野において需要者の間に広く認識されている氏名に限る。)を含む商標」に該当しません。

 また、上記②のとおり、仮に「被服」の分野において、需要者の間に広く認識されている他人の「山田太郎」(≒一定の知名度を有するファッションデザイナー)が存在したとしても、菓子と被服では分野が異なるため、本願商標は、「他人の氏名(商標の使用をする商品又は役務の分野において需要者の間に広く認識されている氏名に限る。)を含む商標」に該当しません。

 このように、第1パターンにいう「他人の氏名」は、「商標の使用をする商品又は役務の分野において」という要素と、「需要者の間に広く認識されている」という要素によって、二重の絞りがかけられています。

(4)「他人の承諾」とその対象

 なお、第1パターンにいう「他人の氏名」を含む商標については、もう1点注意が必要です。

 それは、改正後の商標法418が、「他人の氏名(商標の使用をする商品又は役務の分野において需要者の間に広く認識されている氏名に限る。)を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)」と規定している点です。つまり、当該他人の承諾を得た場合には、「他人の氏名(商標の使用をする商品又は役務の分野において需要者の間に広く認識されている氏名に限る。)を含む商標」であることを理由として、同8号に該当することはありません6

 ここで、改正前の商標法418も、

第四条 次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。
八 他人の氏名を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。

商標登録を受けることが出来ない商標

と規定していました。そのため、商標法418号該当性の判断にあたり、当該他人の承諾の有無を問題とすること自体は、改正前後で変わりありません。

 ただし、改正前及び改正後の商標法418号は、いずれも、「その」他人の承諾を得ているものを除く、と規定しています。そして、先述のとおり、改正後の商標法418は、「他人の氏名(商標の使用をする商品又は役務の分野において需要者の間に広く認識されている氏名に限る。)」と規定し、ここにいう「他人」を限定している以上、承諾を得なければならない「その」他人も、「商標の使用をする商品又は役務の分野において需要者の間に広く認識されている氏名」の他人に限られる、と解されます。

 それゆえ、【事例1】の場合、「菓子」の分野において、需要者の間に広く認識されている他人である「山田太郎」(≒一定の知名度を有するパティシエ)が存在したとしても、本願商標の出願者は、その他人である「山田太郎」(≒一定の知名度を有するパティシエ)のみから承諾を得れば足りることになります。

 換言すれば、

  • 「菓子」の分野において、需要者の間に広く認識されていない他人の「山田太郎」(≒無名のパティシエ)
  • 「被服」の分野において、需要者の間に広く認識されている他人である「山田太郎」(≒一定の知名度を有するファッションデザイナー)

から、承諾を得る必要はありません。

 改正前の商標法418号に係る「他人の承諾」に関しては、同姓同名の者が複数存在する場合全ての他人から承諾を得ない限り商標登録ができないとする現行の規定・解釈は、氏名からなるブランド名の保護に欠けるとの指摘がなされていました7改正後の商標法418においては、上述のとおり、承諾を得なければならない「他人」が限定されたため、この指摘が問題としていた点は、一定程度解消されたものと思われます。

第2パターン -他人の氏名を含む商標であつて、政令で定める要件に該当しないもの-

(1)「他人の氏名」が限定されていない点

 次に、2パターンは、「他人の氏名を含む商標であつて、政令で定める要件に該当しないもの」です。

 ここで、注意すべきは、第2パターンにいう「他人の氏名」は、第1パターンと異なり、「商標の使用をする商品又は役務の分野において需要者の間に広く認識されている氏名」という限定がされていない点です。

 つまり、第2パターンにいう「他人の氏名」には限定が付されていないため、商標の使用をする商品又は役務の分野において需要者の間に広く認識されていない氏名であっても、「他人の氏名」にあたります。

(2)「政令で定める要件に該当しないもの」

 先述のように、第2パターンにいう「他人の氏名」に限定を付さないとすると、当該商標に含まれる氏名と同姓同名の他人が存在すれば、その知名度の如何を問わず2パターンにいう「他人の氏名」にあたることになります。

 ここで、令和5年改正前の商標法418号は、近時厳格に解されており、商標に含まれる「他人の氏名」の知名度にかかわらず、同姓同名の他人が存在すれば一律に出願が拒絶される傾向にありました。かかる問題点につき、令和5年改正は、1パターンのように「他人の氏名」に一定の知名度の要件を設けることで解決しようとしたものでした。

 それにもかかわらず、何故、令和5年改正後の商標法418号は、第2パターンのように「他人の氏名」に限定を付していないのでしょうか。また、第2パターンにいう「政令で定める要件に該当しないもの」とは、具体的にどのような要件が想定されているのでしょうか。

 この点については、本報告書及びその前提となった産業構造審議会知的財産分科会商標制度小委員会の議論8を踏まえると、次のように考えられると思います。

〈出典〉特許庁ウェブサイト・産業構造審議会知的財産分科会第10回商標制度小委員会(令和41122)配布資料1「他人の氏名を含む商標の登録要件緩和」2

 先述のとおり、令和5年改正後は、第1パターンにいう「他人の氏名」は、「商標の使用をする商品又は役務の分野において需要者の間に広く認識されている氏名」に限定されています。

 しかし、「商標の使用をする商品又は役務の分野において需要者の間に広く認識されている氏名」以外の氏名であっても、当該氏名と無関係な者が、他人への嫌がらせや先取りして商標を買い取らせる目的で商標出願することを許せば、他人の氏名に係る人格的利益が侵害されます。また、そのような濫用的な出願に係る出願人の商標登録を受ける利益については、厚く保護する必要性も乏しいと考えられます。そもそも、商標法418号の趣旨は、他人の人格的利益の保護にありますから、濫用的な出願を制限することはその趣旨と整合するものです。

 そこで、改正後の商標法418は、出願人の商標登録を受ける利益と他人の氏名に係る人格的利益との調整のため、

  • 第1パターン
    他人の氏名(商標の使用をする商品又は役務の分野において需要者の間に広く認識されている氏名に限る。)を含む商標」と規定して、「他人の氏名」に一定の知名度を求めつつ(他人側の要件)
  • 第2パターン
    他人の氏名を含む商標であつて、政令で定める要件に該当しないもの」と規定して、出願人側の事情(例えば、出願することに正当な理由があるか等)を考慮すること(出願人側の要件)

として、他人の氏名を含む商標の登録要件を緩和したと解されます。

 本コラム執筆時点では、令和5年改正後の商標法関係の政令は公布されていません。もっとも、以上を前提とすると、2パターンにいう「政令で定める要件に該当しないもの」とは、当該商標に含まれる他人の氏名が出願人の自己氏名等であり、出願人に不正な目的がないといった場合に該当しないものが、想定されていると思われます。

(3)【事例2】の検討

 それでは、次の【事例2】を考えてみましょう。

【事例2
 パティシエである田中次郎は、「山田太郎」の文字を標準文字で表してなる商標について、第30類に属する「菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。)」を指定商品として登録出願しました(以下、「本願商標」といいます。)。
 本願商標は、商標法418号にいう「他人の氏名を含む商標であつて、政令で定める要件に該当しないもの」に該当する可能性があるでしょうか。

 【事例1】では、第1パターンにいう「他人の氏名(商標の使用をする商品又は役務の分野において需要者の間に広く認識されている氏名に限る。)」との関係で、本願商標の使用をする商品の分野(菓子の分野)において、需要者の間に広く認識されている他人の氏名「山田太郎」が存在するか、を問題としていました。

 しかし、【事例2】はこれとは異なります。2パターンにいう「他人の氏名を含む商標であつて、政令で定める要件に該当しないもの」との関係でまず問題にすべきは、本願商標に含まれる「他人の氏名」と出願人の関連性です。

 すなわち、本願商標に含まれる「山田太郎」は氏名であるところ、(たとえ出願人が山田太郎であっても)「山田太郎」という氏名の者は出願人とは別に存在しています。それゆえ、本願商標は、第2パターンにいう「他人の氏名を含む商標」にあたります。ここでは、本願商標の使用をする商品又は役務の分野や、その分野において需要者の間に広く認識されている他人の氏名か否かは問題となりません。

 そして、出願人の自己氏名が「山田太郎」であった場合は、出願に正当な理由があると考えられますが、【事例2】のように、出願人の自己氏名が「田中次郎」であった場合には、何故、自己氏名ではない「他人の氏名」を含む商標を出願するのか、その点に正当な理由があるのか、疑問です。

 したがって、(本コラム執筆時点で政令は制定されていないため、あくまで事例としての検討に過ぎませんが)、田中次郎を出願人とする本願商標については、その他の事情も考慮して審査した結果、「他人の氏名を含む商標であつて、政令で定める要件に該当しないもの」に該当する可能性があると思われます。

令和5年改正後の商標法418号該当性の判断フローと氏名ブランドの立ち上げ

 このように、令和5年改正後の商標法418号該当性の判断にあたっては、同号の規定が、「他人の氏名」を含む商標について2つのパターンを定めていることに留意すべきです。

 具体的な判断フローとしては、次のとおりになるものと考えられます(私見)。

 令和5年改正後の商標法418号該当性の判断フローに従うと、例えば、ファッションデザイナーやパティシエが自己の氏名を用いたブランド(ファッションブランド・スイーツブランド)を立ち上げた場合同姓同名の他人で、その業界において一定の知名度を有する他のファッションデザイナーやパティシエが存在しなければ、8号には該当せず、当該ブランド名について商標登録を受けることのできる可能性は高いものと思います。

終わりに

 以上、本コラムでは、令和5年改正後の商標法418について、解説しました。

 令和5年改正の施行日は、公布の日(令和5614日)から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日となっています。施行までに動きがあり次第、改めてコラムで取り上げたいと思います。

1 赤色四角形は、本コラム執筆者によります。

2 令和5年改正全体の概要については、経済産業省ウェブサイト・不正競争防止法 直近の改正(令和5年)「不正競争防止法等の一部を改正する法律 【知財一括法】の概要」にまとめられています。なお、本コラムの内容は、上記「不正競争防止法等の一部を改正する法律 【知財一括法】の概要」、令和53月に産業構造審議会知的財産分科会商標制度委員会が公表した「商標を活用したブランド戦略展開に向けた商標制度の見直しについて」(本報告書)等をもとに、執筆者の見解を述べた部分も多く含まれておりますので、現時点の暫定的な解説としてご理解いただけますと幸いです。

3 例えば、ファッションブランド「ヨウジヤマモト」を運営する株式会社ヨウジヤマモトが、「ヨウジヤマモト」の文字を標準文字で表してなる商標について、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」等を指定商品として登録出願した事例において、特許庁は「本願商標は、「ヤマモト(姓)ヨウジ(名)」を読みとする人の氏名を「名」、「姓」の順に片仮名表記したものとして、客観的に把握されるものである。加えて、請求人と原審において示した氏名を「ヤマモトヨウジ」とする者とは他人であると認められるから、本願商標は、その構成中に他人の氏名を含むものといわなければならず、かつ、少なくとも当該山本耀司氏以外の、上記他人の承諾を得たものとも認められない。」として、商標法418号該当性を肯定しました(拒絶2021-002342)。

4 下線は、本コラム執筆者によります。

5 令和2年以降、菓子は、主原料によって異なる区分(第29類と第30類)に分類されることになりました。なお、菓子を指定商品とする商標出願に関しては、以前に掲載した「スイーツ・ロー⑴~そのプリン、商標登録できますか?(菓子名を含む商標の出願と商標法313号)~」「スイーツ・ロー⑵~そのプリン、商標登録できますか?(菓子名を含む商標の出願と商標法4116号)~」もご参照ください。

6 ただし、本コラム5で述べるとおり、「商標の使用をする商品又は役務の分野において需要者の間に広く認識されている氏名」の他人の承諾を得た場合であっても、本願商標に含まれる他人の氏名と出願人の関連性、出願人の目的等を考慮して、「政令で定める要件に該当しない」ときは、本願商標は改正後の商標法418号に該当すると思われます(私見)。

7  経済産業省ウェブサイト・不正競争防止法 直近の改正(令和5年)「不正競争防止法等の一部を改正する法律【知財一括法】の概要」3頁参照。

8 特許庁ウェブサイト 産業構造審議会知的財産分科会商標制度小委員会の第9回(令和4929日)~第11回(令和41223日)の配布資料及び議事録参照。

弁護士 弁理士 片木 研司

所属
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