コラム

2023/04/24

普通養子縁組の解消方法について

養子縁組とは

 養子縁組とは、親子関係のない者同士を法律上親子関係があるものとすることです。

 養子縁組には普通養子縁組と特別養子縁組の二種類があります。

普通養子縁組

 普通養子縁組は、養親と養子が親子となるとともに、養子となった子どもと実親との親子関係も継続されます。

そのため、普通養子縁組の場合は、「養親が亡くなったとき」「実親が亡くなったとき」のどちらも相続権が発生します。

 なお、未成年者を養子とする際には、家庭裁判所の許可が必要となります。ただし、自己又は配偶者の直系卑属(子や孫等)を養子とする場合は、原則として家庭裁判所の許可は必要ありません

 また、養親となる人に配偶者がいる場合は、原則として、夫婦が共に養親となる縁組をすることが必要となります。

特別養子縁組

 特別養子縁組は、家庭裁判所に特別養子適格の確認の申立てと特別養子縁組成立の申立てが必要となります。特別養子縁組によって養子になった子どもと実親は、法的な親子関係が解消されます。

 特別養子縁組は養子になる子どもへの影響が大きい制度なので、養親や養子の年齢要件などの条件を満たす必要があり、普通養子縁組よりも要件が厳格です。

養子縁組を解消するには

 養子縁組の解消とは、養子縁組によって成立した法的な親子関係を消滅させることです。

 養子縁組を解消し、親子関係を消滅させない限り、相続や扶養義務などの法的な権利義務関係が継続することになります。

本コラムでは、普通養子縁組の解消方法を説明いたします。

普通養子縁組の解消方法

協議離縁

 養子と養親との話し合い(協議)をもって、養子縁組解消を目指します。

 養子が15歳以上の場合には、養子自身が養親と話し合い、離縁の届出をすることができます。養子が15歳未満の場合には、離縁後に養子の法定代理人となる者と養親の間で協議を行うことになります

 相手が養子縁組解消に同意すれば「協議離縁届」を作成のうえ、双方(養子が15歳未満の場合は離縁後に養子の法定代理人となる物)が署名捺印し、本籍地又は所在地の役所に提出します。

調停離縁

 協議では離縁が成立しない場合、離縁を求める者は、家庭裁判所に「離縁調停」を申し立て、調停委員の仲介もと離縁調停の成立を目指します。

 調停が成立すると、調停調書が作成され、その調書を役所に持参して提出します。なお、離縁の報告的届出は調停成立の日から10日以内に行わなければなりません。

審判離縁

 調停でおおむね離縁することに合意できているのに、相手が諸事情で裁判所に来られなくなったなど、離縁を認めるのが相当と判断されるケースでは、「審判」によって離縁が認められるケースもあります。

 審判が成立したら、自宅宛てに審判書が届き、当事者双方が審判書を受領してから2週間が経つと、審判が確定します。

 裁判所に申請をして確定証明書を入手し、審判書と確定証明書を役所に持参して提出します。

裁判離縁

 離縁調停が不成立となった場合、離縁を求める裁判を提起します。なお、離縁を求める訴訟は、基本的には調停を経る必要があり、調停を経ないでいきなり訴訟を提起することはできません(調停前置主義)。

 離縁を求める訴訟を提起する際には、以下の離縁理由が必要となります。

  1. 他の一方から悪意で遺棄されたとき。
  2. 他の一方の生死が3年以上明らかでないとき。
  3. その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき。

 訴訟提起後、判決に至る前に、相手方が離縁の要求を認める認諾離縁や、双方の和解による和解離縁によって離縁が成立することもあります。

 判決で離縁が認められた場合、当事者のどちらかも控訴しなければ、控訴期間経過時に離縁が確定します。

 裁判所に申請をして確定証明書を入手し、判決書と確定証明書を役所に提出します。

 また、認諾離縁の場合は認諾調書、和解離縁の場合は和解調書を提出することになります。

弁護士 田中 彩

所属
大阪弁護士会

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